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老化の「加速ポイント」は44歳と60歳
こんにちは。江南市、岩倉市、稲沢市、北名古屋市、清須市などの近隣にあります、愛知県 一宮市の森整形外科(整形外科・リハビリテーション科)院長の松村成毅です。今回は「いまからできる身体と脳のメンテナンス」についてお話しさせていただきます。
いまからできる身体と脳のメンテナンス戦略
44歳と60歳で起こる「ギアチェンジ」
私たちは老化がゆっくりとなだらかに進むものだと考えがちです。しかしスタンフォード大学の大規模研究によると、44歳と60歳の年齢帯で分子レベルの老化が急加速することが分かっています。この時期には、脂質代謝・炭水化物代謝・免疫機能など、体を支える仕組みが大きく変化します。つまり44歳と60歳は”身体の曲がり角”と言えるのです。
回復力の低下「60歳の壁」
60歳を過ぎると自然治癒力や回復力が一気に落ちます。若い頃と同じ行動をしても、腰や膝を痛めやすく痛みが長引く---そんなことが起きやすくなります。反対に55歳頃から運動やメンテナンスを始めていた人は、60歳を過ぎても元気に活動を続ける傾向が強いことも分かっています。この「60歳の壁」をどう越えるかが、その後、80歳までの健康寿命を決める分かれ道になります。
脳の老化を防ぐ鍵は「使い続けること」
脳も筋肉と同じで使わないと衰えます。60歳以上でも約20%の人は大学生並みの記憶力を保っているという報告もあります。そのような人に共通するのは「学び続けている」ことです。読書や語学、新しいことを学ぶための勉強や問題解決をするなど、日々脳を動かしているということです。一方、テレビやスマホからの情報を受け身で眺めるだけの生活は、脳の老化を早めてしまいます。
運動は「体」と「脳」を同時に若返らせる
【10〜15分の朝散歩】朝の光を浴びながら歩くだけで、睡眠リズムが整い、脳も活性化します。
【週120分程度の中強度運動】少しきついけど終わると気持ちいいレベルの運動を週に合計120分程度行います。
例えば筋トレ30分+速歩45分を週2回程度行えば十分です。余裕があれば180分を目指すとより効果が高まります。
【未経験の運動は早めに始める】60歳を過ぎると未経験の運動を新たに始めるのは難しくなります。そのような場合は、若い頃に経験したスポーツ(ゴルフやテニスなど)を再開するのがおすすめです。60歳未満のかたは、未経験の運動でも先延ばしせずに早く始めてみてはいかがでしょうか?
「筋力=生命力」
筋力は健康寿命を決める最重要因子です。転倒・骨折・入院を防ぐには「長く歩ける脚」を維持することが何より大切となります。スクワットや片足立ちなど、下半身の筋トレを日課にしましょう。
運動が「遺伝子の切符 テロメア」を守る
テロメアは染色体の末端を保護するキャップのような役割を持ち、細胞分裂のたびに少しずつ短くなります。つまり細胞分裂の回数には限りがあるため、テロメアは「遺伝子の切符」「命の回数券」と呼ばれます。テロメアの短縮を守ることが健康寿命につながると言えます。
そのテロメアは運動で守れることが分かっています。激しすぎない中強度の運動が、老化速度を緩やかにし、寿命を延ばす方向に働くのです。
日常でできる老化予防「7つの行動」
- 毎日の朝散歩(10〜15分)
- 週120分の中強度運動(ジム・速歩・筋トレ)
- 生活のなかで1日6,000歩を目安に歩数チェック
- 読書・勉強・脳トレを週3回以上
- 痛みや不調は早めに整える(理学療法・ストレッチ)
- 就寝・起床時間の固定(毎日同じ時間に寝起きする)し睡眠の質を上げる
- 55歳からは「60歳の壁」に備えた体づくりを意識
おわりに
老化の進行速度は「生き方」で変えられます。「もう歳だから…」ではなく「今から」始める習慣が未来の体をつくります。44歳、60歳という節目を前向きなスタートラインにして、自分の身体と脳を整える「再起動」を始めましょう。