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夏に増える「足がつる」|こむら返りと脱水の関係・対処法・予防を整形外科医が解説
「夜中に突然、ふくらはぎがつって目が覚めた」「暑い日に歩いたあと、足がつるようになった」
夏になると、このような「足がつる」「こむら返りが増えた」というご相談が多くなります。
こむら返りは一年を通して起こる症状ですが、夏は汗をかくことで体内の水分が失われやすく、筋肉も疲労しやすい季節です。この記事では、夏に足がつりやすくなる理由と、日常生活でできる予防法についてお話しします。
この記事でわかること
⚫︎ こむら返りとは何か、なぜ夏に増えるのか(4つの理由)
⚫︎ 足がつった時の正しい対処法
⚫︎ 今日からできる予防法(水分補給・ストレッチ・冷え対策)
⚫︎ 診察でお伝えしている2つの方法(納豆・芍薬甘草湯)と注意点
⚫︎ 受診を検討したほうがよいサイン
こむら返りとは?
こむら返りとは、ふくらはぎなどの筋肉が自分の意思とは関係なく急に強く収縮し、痛みを伴う状態です。医学的には「有痛性筋けいれん」と呼ばれます。
多くは数十秒から数分ほどで治まりますが、夜中に繰り返すと、痛みだけでなく睡眠にも影響します。
なぜ夏は足がつりやすいの? 4つの理由
夏に足がつりやすくなる背景には、いくつかの要因が重なっています。代表的な4つをご紹介します。
① 汗をかいて水分が不足する
夏は、屋外で運動をしている時だけでなく、日常生活の中でも多くの汗をかいています。体内の水分が不足すると、筋肉や神経の働きが不安定になり、足がつるきっかけになることがあります。
特に高齢になると、喉の渇きを感じにくくなるため、本人が気づかないうちに脱水が進んでいることもあります。
② 汗とともにミネラルが失われる
汗をかくと、水分と一緒にナトリウムなどの電解質も失われます。ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルは、筋肉の収縮や神経からの信号を調整するために必要です。
大量の発汗などによって体内のバランスが崩れると、筋肉がうまく緩みにくくなり、こむら返りにつながることがあります。
ただし、足がつる原因は脱水やミネラル不足だけではありません。筋肉の疲労や神経の働きなど、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
③ 暑さによる筋肉疲労
暑い中での運動や長時間の歩行は、普段以上に体力を消耗します。筋肉に疲労がたまると、筋肉を縮めたり緩めたりする調整が乱れ、足がつりやすくなります。
反対に、暑さを避けてほとんど体を動かさなくなることも、筋力や柔軟性の低下につながります。
④ 冷房による足元の冷え
夏は暑い季節ですが、室内では冷房によって足元が冷えていることがあります。特に、就寝中に冷たい風が直接足に当たっていると、筋肉が緊張したり、足の冷えを感じたりすることがあります。
暑さによる脱水と、冷房による冷え。夏は、この両方が重なりやすい季節です。
足がつった時はどうすればいい?
ふくらはぎがつった時は、慌てて強く揉むよりも、収縮している筋肉をゆっくり伸ばします。
膝を伸ばした状態で、足首を自分の方へゆっくり反らせてください。手が足先まで届かない場合は、タオルを足の裏にかけて、両端をゆっくり引く方法もあります。
痛みが落ち着いてきたら、ふくらはぎを優しくさすったり、温めたりするのもよいでしょう。無理に勢いよく伸ばすと筋肉を傷めることがあるため、ゆっくり行うことが大切です。
夏のこむら返りを予防するために
日常でできる予防は、この3つです。
① 麦茶でこまめに水分を補給する
喉が渇いてから一度にたくさん飲むのではなく、日中から少しずつ水分をとりましょう。日常的な水分補給には、糖分を含まない麦茶がおすすめです。
市販のスポーツドリンクには糖質が多く含まれているものがあります。運動をしたからといって、毎日の水分補給として何本も飲む必要はありません。通常の生活や軽い運動であれば、食事をきちんととりながら、麦茶で水分を補うことで十分なことが多いでしょう。
ただし、長時間の運動や作業で大量に汗をかいた時、下痢や嘔吐がある時、熱中症が疑われる時には、電解質を含む経口補水液が必要になる場合があります。
② 就寝前にふくらはぎを伸ばす
夜中に足がつりやすい方は、寝る前にふくらはぎを軽く伸ばしておきましょう。
壁に両手をつき、片足を後ろへ引きます。後ろ足のかかとを床につけたまま、ふくらはぎが気持ちよく伸びるところで20秒ほど保ちます。左右それぞれ、無理のない範囲で行ってください。
③ 足元を冷やしすぎない
冷房の風が直接足に当たらないよう、風向きを調整しましょう。薄手の布団や長ズボンなどを使い、体は涼しく保ちながら、足元だけが冷えすぎないようにすることも大切です。
私が診察でお伝えしている2つの方法
夜中のこむら返りを繰り返す方に、私は次の2つの方法をお伝えすることがあります。
① 夕食に納豆を1パック食べる
まずおすすめしているのが、夕食時に納豆を1パック食べることです。
納豆は、マグネシウムなどのミネラルや、ビタミンK2を含む食品です。近年、ビタミンK2を摂取した高齢者では、夜間の足のつりの回数や痛み、持続時間が減少したという研究も報告されています。
「納豆を食べるようになってから、夜中に足がつらなくなった」と話される患者さんもいらっしゃいます。納豆は、普段の食事に取り入れやすい食品です。足のつりを繰り返す方は、夕食に加えてみてもよいと思います。
ただし、血液を固まりにくくする薬の一つであるワルファリンを服用している方は、納豆を食べることができません。必ず主治医や薬剤師に確認してください。
② 就寝前に芍薬甘草湯を服用する
もう一つが、漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。
芍薬甘草湯は、こむら返りや筋肉のけいれんに用いられる漢方薬です。夜中に足がつる方には、就寝前に服用してもらうことで予防できる場合があります。
ただし、漢方薬にも副作用があります。芍薬甘草湯に含まれる甘草は、長期間の連用や、甘草を含むほかの漢方薬との併用によって、血圧の上昇、むくみ、だるさ、筋力低下、低カリウム血症などを起こすことがあります。
腎臓や心臓の病気がある方、利尿薬を服用している方、ほかの漢方薬を飲んでいる方は特に注意が必要です。自己判断で毎日飲み続けるのではなく、医師の診察を受けたうえで、自分に合った飲み方を確認しましょう。
繰り返す足のつりには、別の原因が隠れていることも
こむら返りの多くは一時的なものですが、次のような場合は、一度ご相談ください。
⚫︎ 週に何度も足がつる
⚫︎ 痛みで何度も目が覚める
⚫︎ しびれや筋力低下を伴う
⚫︎ 片方の足だけが腫れている
⚫︎ 歩くと足が痛み、休むと楽になる
⚫︎ 腰痛と一緒に足の症状が出ている
⚫︎ 糖尿病、腎臓病、甲状腺疾患などで治療を受けている
⚫︎ 利尿薬などの薬を服用している
腰から足へ向かう神経が圧迫されている場合や、足の血流が低下している場合、薬の影響、糖尿病や腎臓の病気などが関係していることもあります。
「夏だから」「年齢のせいだから」と決めつけず、繰り返す時には原因を確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
夜中に足がつるのは、なぜですか?
夏は汗による水分・ミネラルの不足、日中の筋肉疲労、就寝中の冷房による足元の冷えが重なり、夜間のこむら返りが起こりやすくなります。喉の渇きを感じにくい高齢の方は、気づかないうちに脱水が進んでいることもあります。
足がつった時は、揉めばいいですか?
強く揉むよりも、膝を伸ばした状態で足首を自分の方へゆっくり反らし、収縮した筋肉をゆっくり伸ばすのが基本です。タオルを足の裏にかけて引く方法もあります。勢いよく伸ばすと筋肉を傷めることがあるため、ゆっくり行ってください。
水分補給は、スポーツドリンクがいいですか?
日常の水分補給には、糖分を含まない麦茶がおすすめです。市販のスポーツドリンクは糖質が多いものがあり、毎日の水分補給として何本も飲む必要はありません。ただし、大量の発汗時や熱中症が疑われる時は、経口補水液が必要になる場合があります。
納豆や芍薬甘草湯は、誰でも試していいですか?
注意が必要な方がいます。ワルファリンを服用中の方は納豆を食べられません。芍薬甘草湯も、甘草による副作用(血圧上昇・むくみ・低カリウム血症など)があり、腎臓・心臓の病気がある方や利尿薬・他の漢方薬を使用中の方は特に注意が必要です。いずれも自己判断せず、医師・薬剤師にご確認ください。
まとめ
夏は汗によって水分やミネラルを失いやすく、筋肉にも疲労がたまりやすいため、足がつることが増える季節です。
まずは、麦茶などでこまめに水分をとる、食事をきちんととる、寝る前にふくらはぎを伸ばす、冷房で足元を冷やしすぎない ── といった身近な対策から始めてみてください。夜中のこむら返りを繰り返す方には、夕食時の納豆や、就寝前の芍薬甘草湯が役立つこともあります。
足がつることは、体からの小さなサインです。暑い夏を元気に過ごすためにも、水分補給と毎日の食事を大切にしていきましょう。
症状が頻繁に起こる場合や、しびれ、むくみ、筋力低下などを伴う場合は、森整形外科へご相談ください。「これくらいで受診していいのかな」と迷う段階でも、まったく問題ありません。ご予約は、下のボタンからお気軽にどうぞ。
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この記事の執筆者
執筆者のプロフィール
松村 成毅(まつむら なるき)
医療法人モンキーポッド 森整形外科 院長
愛知県一宮市生まれ
・整形外科専門医
・日本整形外科学会認定スポーツ医
・日本整形外科学会認定
・リハビリテーション医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
・ロコモアドバイスドクター