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瀬戸朝香さんが「第一腰椎骨折」を公表|第一腰椎はなぜ骨折しやすい?整形外科医が解説します
女優の瀬戸朝香さんが2026年8月23日、ご自身のInstagramで「第一腰椎を骨折した」ことを公表されました。現在は医師の指示のもと治療と療養に努められ、しばらく仕事をお休みされるとのことです。
まずは、しっかり治療に専念され、一日も早く回復されることを願っています。
今回のニュースを見て、「第一腰椎ってどこ?」「腰の骨折って、どういうもの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
第一腰椎は、実は背骨の中でも骨折が起こりやすい場所の一つです。今回は、整形外科医の立場から、第一腰椎骨折について少し解説してみたいと思います。
この記事でわかること
- 第一腰椎はどこにあり、なぜ骨折しやすいのか
- どんな時に骨折が起こるのか(大きな力・小さな力)
- 「ぎっくり腰だと思っていたら骨折だった」というケース
- 治療の考え方は、年齢によって変わること
- 注意が必要な症状と、受診の目安
第一腰椎はどこにある?
背骨は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個などの骨が積み重なってできています。第一腰椎は、5つある腰椎の一番上の骨です。ちょうど「背中」と「腰」の境目あたりにあり、このあたりを医学的には「胸腰椎移行部」と呼びます。
胸椎は肋骨とつながっているため比較的動きが少なく、その下にある腰椎は大きく動きます。つまり第一腰椎付近は、「動きの少ない場所から、動きの大きい場所へ切り替わる境目」にあたります。
そのため力が集中しやすく、背骨の中でも骨折が起こりやすい場所なのです。
第一腰椎の骨折は、どんな時に起こる?
背骨の骨折には、さまざまな原因があります。まず、大きな力が加わって骨折するケースです。
- 転倒して尻もちをつく
- 高いところから落ちる
- スポーツなどで強い衝撃を受ける
- 交通事故
一方で、骨が弱くなっている場合には、比較的小さな力でも骨折することがあります。
- 軽く尻もちをついた
- 重い物を持ち上げた
- 中腰になった
- 体をひねった
特に高齢の方では、はっきりしたきっかけが思い当たらないまま、背骨の骨折が見つかることもあります。
「ぎっくり腰だと思っていたら骨折だった」ということもあります
第一腰椎を骨折すると、背中から腰にかけて強い痛みが出ることがあります。特に目立つのは、次のような「動いた時の痛み」です。
- 寝返りをすると痛い
- 起き上がる時に痛い
- 立ち上がる時に痛い
- 歩くと腰に響く
診察をしていると、「ぎっくり腰だと思っていました」と言われる患者さんもいらっしゃいます。しかし、レントゲンやMRIを撮ってみると、実は背骨の骨折が見つかることがあります。
特に、転倒や尻もちのあとに強い腰痛が続いている場合には、「ただの腰痛だろう」と我慢しすぎないことが大切です。
背骨の骨折は、骨折した瞬間だけで終わるとは限りません
背骨を構成する骨の本体部分を「椎体」といいます。
背骨の骨折で大切なのは、「骨折した時の形が、そのまま最後まで続くとは限らない」ということです。骨折直後には大きくつぶれていなくても、その後、数週間かけて椎体が徐々につぶれていくことがあります。
椎体が大きくつぶれてしまうと、背骨の変形が残ることがあります。そのため、特に比較的若い方で背骨を骨折した場合には、「これ以上、椎体をつぶさないこと」を重視して治療することがあります。
治療は年齢によって考え方が変わります
第一腰椎骨折の治療は、骨折の程度や年齢、神経症状の有無などによって変わります。
比較的若い方で背骨を骨折した場合、私はまず、これ以上椎体がつぶれないようにすることを重視します。そのため、状態によってはコルセットを使用しながら、1か月程度しっかり安静臥床をしていただくこともあります。多少筋力が落ちることがあっても、若い方では回復する力があります。
一方で、一度大きくつぶれて変形してしまった背骨を元の形に戻すことは簡単ではありません。そのため若い方では、まず骨折した背骨をしっかり守ることを優先します。
逆に、70代以降の高齢の方では事情が変わります。長期間ベッドで安静にしていると、筋力や体力が急激に落ち、歩けなくなってしまうことがあります。そのため高齢の方では、コルセットで骨折部を支えながら、状態を確認して早めに離床し、歩く力を保つことも大切になります。
つまり、
- 若い方では「骨を守ること」をより重視する
- 高齢の方では「骨を守ること」に加えて、「歩く力を失わないこと」も重視する
同じ第一腰椎骨折でも、年齢や体の状態によって治療の考え方は変わります。
足のしびれや力が入りにくい場合には注意が必要です
背骨の骨折では、骨折の程度によって神経に影響が及ぶことがあります。次のような症状がある場合には、より詳しい検査や治療が必要になることがあります。
- 足のしびれが強い
- 足に力が入りにくい
- 歩きにくい
- 排尿や排便に異常がある
こうした症状がある場合には、早めに整形外科を受診してください。
そして、もう一つ確認してほしいのが「骨の強さ」です
今回、瀬戸朝香さんは49歳です。今回の骨折の原因や骨の状態について詳しいことは公表されていませんので、瀬戸さんご本人と骨粗鬆症を結びつけることはできません。
ただ、整形外科医としてお伝えしたいことがあります。それは、「比較的小さな力で骨折した場合には、年齢だけで判断せず、一度、骨の強さを調べてほしい」ということです。
骨粗鬆症というと、「70代、80代になってから考える病気」という印象を持っている方も多いと思います。しかし、骨の状態には個人差があります。特に女性は、閉経前後から女性ホルモンの変化に伴って骨量が減少しやすくなります。
また、骨の強さには年齢だけでなく、次のような要素も関係します。
・体格
・運動習慣
・栄養状態
・ビタミンDの不足
・喫煙や飲酒
・服用している薬
・さまざまな病気
そのため、「まだ若いから大丈夫」だけでは判断できません。
骨折を治すことと、次の骨折を防ぐこと
骨折した時に大切なのは、まず今ある骨折をしっかり治すことです。しかし、それだけで終わらせないことも大切です。
もし骨が弱くなっていることが背景にあれば、今回の骨折が治っても、別の場所で次の骨折を起こす可能性があります。背骨、大腿骨、手首など、骨粗鬆症によって骨折しやすい場所はいくつもあります。
だからこそ私は、骨折を診た時には、「なぜ骨折したのだろう」というところまで考えることが大切だと思っています。
必要に応じて骨密度を測定し、血液検査などで骨の代謝や栄養状態を確認する。そして、必要であれば食事や運動を見直し、骨粗鬆症の治療につなげる。そこまで考えて初めて、「次の骨折を防ぐ治療」につながります。
よくある質問(FAQ)
第一腰椎は、なぜ骨折しやすいのですか?
第一腰椎は「胸腰椎移行部」と呼ばれる、動きの少ない胸椎から動きの大きい腰椎へ切り替わる境目にあります。そのため力が集中しやすく、背骨の中でも骨折が起こりやすい場所です。
ぎっくり腰と背骨の骨折は、どう違うのですか?
見分けは自己判断では難しく、「ぎっくり腰だと思っていた」という方の中に、レントゲンやMRIで骨折が見つかることがあります。転倒や尻もちのあとに強い腰痛が続く場合は、我慢せず受診してください。
背骨を骨折したら、安静にしていればいいですか?
年齢や状態によって考え方が変わります。比較的若い方では、椎体がこれ以上つぶれないよう安静を重視することがあります。一方、70代以降の方は長期の安静で歩けなくなるリスクがあるため、コルセットで支えながら早めに離床し、歩く力を保つことも大切になります。
若くても骨粗鬆症の検査は必要ですか?
骨の状態には個人差があり、特に女性は閉経前後から骨量が減少しやすくなります。比較的小さな力で骨折した場合には、年齢だけで判断せず、一度骨の強さを調べることをおすすめします。
転倒後の腰痛を、我慢しないでください
もし、次のような症状がある場合には、一度整形外科を受診してください。
・尻もちをついてから腰が痛い
・転んでから起き上がる時に強く痛む
・腰痛がなかなか改善しない
特に50歳前後からは、「腰を見るだけでなく、骨を見る」そんな視点も大切になってきます。
歩けることは、幸せな人生の土台になります。骨折を治すだけでなく、その先も自分の足で歩き続けられるように。今回のニュースが、ご自身の「骨の健康」を考えるきっかけになればと思います。
当院では骨密度検査を行っており、必要に応じて血液検査で骨の代謝や栄養状態も確認しています。「これくらいで受診していいのかな」と迷う段階でも、まったく問題ありません。
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この記事の執筆者
執筆者のプロフィール
松村 成毅(まつむら なるき)
医療法人モンキーポッド 森整形外科 院長
愛知県一宮市生まれ
・整形外科専門医
・日本整形外科学会認定スポーツ医
・日本整形外科学会認定
・リハビリテーション医
・日本整形外科学会認定リウマチ医
・ロコモアドバイスドクター