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サッカーで多いケガ|前十字靭帯(ACL)損傷・肉離れの原因・症状・受診の目安を整形外科医が解説
現在開催中のサッカーワールドカップ。日本代表を応援している方も多いのではないでしょうか。
しかし今回の大会では、日本代表の中心選手たちが、ケガによって欠場を余儀なくされました。世界最高レベルの選手であっても、たった一度のケガで夢の舞台を失うことがあります。
そして、それはプロ選手だけの話ではありません。部活動やクラブチームでがんばる子どもたちにも、同じようなケガは起こります。
この記事では、サッカーで特に多い 前十字靭帯(ACL)損傷 と 肉離れ について、原因・症状・受診の目安・予防法まで、整形外科医がわかりやすく解説します。
この記事でわかること
・前十字靭帯(ACL)損傷と肉離れが「どんなケガ」なのか
・どんな場面で起こりやすく、どんな症状が出るのか
・病院(整形外科)を受診すべきタイミングの目安
・肉離れの応急処置「RICE処置」のやり方
・ケガを防ぐために、日頃からできること
前十字靭帯(ACL)損傷とは?
前十字靭帯(ACL)損傷とは、膝の安定性を支える靭帯が切れてしまうケガです。一度切れると膝が不安定になり、スポーツへの復帰が難しくなることがあります。
膝の中には、骨と骨をつなぐ靭帯がいくつかあります。その中でも、膝の安定性を保つために重要な役割をしているのが「前十字靭帯(ACL)」です。この靭帯が損傷すると、膝がぐらつき、思うように動けなくなってしまいます。
どんなときに起こる?
前十字靭帯は、急な動きで膝に大きな負担がかかったときに損傷しやすくなります。サッカーでは、走りながら相手をかわしたり、ジャンプして着地したりと、膝をひねる動作が多いため、特に注意が必要です。具体的には、次のような場面で起こりやすくなります。
・急に方向を変えたとき(カット動作)
・ジャンプから着地したとき
・相手選手との接触で膝をひねったとき
・急停止・急減速をしたとき
特に女性アスリートは男性より発生率が高いことが知られており、筋力バランスや身体の使い方の違いが関係していると考えられています。
どんな症状が出る?
損傷した瞬間に「ブツッ」「ポキッ」という音や感覚を伴うことがあります。その後、
・膝の強い痛み
・数時間以内に起こる腫れ
・歩きにくさ
・膝がグラグラする感じ
といった症状があらわれます。
こんなときは早めに受診を
前十字靭帯損傷は、ほかのケガを合併していることが少なくありません。次のような場合は、靭帯だけでなく半月板や軟骨も傷ついている可能性があります。
・膝が急に大きく腫れた
・体重をかけられない
・歩くのが困難
・膝が抜ける感じがする
放置すると治療が難しくなることもあります。できるだけ早く整形外科を受診しましょう。
治療はどうなる?
前十字靭帯は、一度完全に切れてしまうと自然に元通りになることはほとんどありません。
スポーツへの復帰を目指す方では、靭帯再建術(手術)が選択されることが多くあります。一方で、
・日常生活に支障が少ない
・激しいスポーツを行わない
という場合には、装具やリハビリによって対応できるケースもあります。
年齢や活動レベル、症状などを総合的に判断して、一人ひとりに合った治療方針を決めていきます。
肉離れとは?
肉離れとは、筋肉が急激に引き伸ばされて、その一部が断裂してしまうケガです。試合中に選手が突然倒れ込み、そのままプレーを続けられなくなる場面がありますが、その原因が肉離れであることも少なくありません。
太ももやふくらはぎは、走る・蹴るといった動作で大きな力がかかるため、サッカーでは肉離れの起こりやすい部位です。なかでも、太ももの前側・裏側、そしてふくらはぎによく見られます。
どんなときに起こる?
肉離れは、筋肉が一気に強く引き伸ばされたときに起こります。特に、筋肉が疲れていたり、十分に温まっていなかったりすると、わずかな動きでも損傷しやすくなります。サッカーでは、次のような場面で起こりやすくなります。
・全力ダッシュした瞬間
・キックやジャンプをしたとき
・疲労がたまっているとき
・ウォーミングアップが不足しているとき
試合終盤に発生しやすいのも特徴です。
どんな症状が出る?
典型的なのは「バチッ」「ビリッ」という痛みで、その場で動けなくなることもあります。症状としては、
・太ももやふくらはぎの強い痛み
・押さえると痛い
・腫れや内出血
・重症では筋肉のへこみ
などがあります。
応急処置は「RICE処置」
肉離れが起きた直後は、まず RICE処置 を行いましょう。この初期対応が、その後の回復に大きく影響します。
| 内容 | 方法 | |
| R(Rest) | 安静 | 患部を動かさず休ませる |
| I(Ice) | 冷却 | 氷や保冷剤で20分程度冷やす |
| C(Compression) | 圧迫 | 弾性包帯などで軽く圧迫する |
| E(Elevation) | 挙上 | 患部を心臓より高く上げる |
「痛みが引いたから大丈夫」は危険
肉離れは、軽症なら2〜3週間程度で改善しますが、重症の場合は2〜3か月以上かかることもあります。
痛みが少し良くなったからといって無理に運動を再開すると、再断裂してしまうことがあります。復帰の時期は自己判断せず、医師や理学療法士と相談しながら進めることが大切です。
サッカーのケガを防ぐためにできること
サッカーでケガを完全に防ぐことはできません。しかし、日頃の習慣でリスクを減らすことはできます。
・練習前のウォーミングアップをしっかり行う
・練習後のストレッチを習慣にする
・太ももや股関節まわりの筋力を鍛える
・疲労が強いときは無理をしない
・違和感があれば早めに相談する
こうした積み重ねが、大きなケガの予防につながります。
成長期のお子さんで、特に気をつけたいこと
成長期のお子さんは、大人と違い、骨や靭帯がまだ発達の途中にあります。そのため「少し痛いだけだから」「試合が近いから」と無理をすると、思わぬ大きなケガにつながることがあります。
特に、
・膝が腫れている
・走れない
・痛みが数日続く
という場合は、早めに整形外科へご相談ください。早期の対応が、その後のスポーツ生活を守ることにつながります。
当院でも、お子さんのスポーツのケガのご相談をお受けしています。リハビリを通して、安心して競技に戻れるようサポートします。
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よくある質問(FAQ)
Q.前十字靭帯(ACL)損傷は、手術しないと治りませんか?
A.前十字靭帯は、完全に切れると自然に元通りになることはほとんどありません。スポーツ復帰を目指す方は手術(再建術)が選ばれることが多い一方、日常生活が中心で激しいスポーツを行わない場合は、装具やリハビリで対応できることもあります。年齢や活動レベルをふまえて判断します。
Q.肉離れは、どれくらいで治りますか?
A.軽症であれば2〜3週間程度で改善しますが、重症の場合は2〜3か月以上かかることもあります。痛みが引いても無理に再開すると再断裂のおそれがあるため、復帰時期は自己判断しないことが大切です。
Q.子どもが「少し痛い」と言うだけなら、様子を見ていいですか?
A.膝が腫れている・走れない・痛みが数日続く、といった場合は様子見をせず、早めに整形外科を受診してください。成長期は骨や靭帯が発達の途中にあり、無理が大きなケガにつながることがあります。
Q.サッカーは、いつから競技に復帰してよいですか?
A.復帰の時期は自己判断せず、医師や理学療法士と相談しながら進めましょう。痛みの改善だけでなく、筋力や動きの回復を確認したうえで段階的に戻すことが、再発予防につながります。
ケガを繰り返さない身体づくりを、一緒に
ワールドカップを見ていると、改めてケガの怖さを感じます。一流選手であっても、たった一度のケガで大舞台を逃してしまうことがあります。
しかしその一方で、適切なトレーニングや身体づくり、そして早めの対応によって防げるケガも少なくありません。
私たちが目指しているのは、ケガを治すことだけではありません。ケガを繰り返さない身体づくりや、安心してスポーツを続けられる環境づくりまでサポートすることです。
「膝をひねった」
「走ったら太ももが痛くなった」
「復帰してよいタイミングがわからない」
そんなときは、お気軽にご相談ください。いつまでも好きなスポーツを楽しめる身体づくりを、一緒に目指していきましょう。
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